~About the Song~

表題曲は1966年、シングルA面としてリリースされた曲です。当時、バッファロー・スプリングフィールドを含め、デビュー前のバンドの多くはナイトクラブで演奏を重ねていました。そんなナイトクラブの影響もあり、若者達が夜遅くまで騒ぐようになり、サンセット・ストリップでは、夜10時を門限とする夜間外出禁止令が敷かれました。

これに、若者達が猛反発。1966年11月12日の夜、クラブのひとつ「パンドラズ・ボックス」の周辺でデモ集会が開かれ、警官隊と衝突しました。多くの若者が警官に捕縛され、クラブのひとつ「パンドラズ・ボックス」は閉鎖に追い込まれました。これに抗議の意味を込めてスティーヴン・スティルスが書いた曲が表題作、For What It’s Worthです。

元々は、若者の暴動に触発されて書かれた詩ですが、反戦歌として受け止められ、ヒットしました。全米7位が最高位となり、個人的には、全米1位を取っていない事に驚きです。

~Translation~

There’s something happening here
But what it is ain’t exactly clear
There’s a man with a gun over there
Telling me I got to beware
何かが起こっているんだ
でも、一体何なのかはよく分からない
向こうには銃を持った男がいて
用心しないといけないって事は分かる
I think it’s time we stop
Children, what’s that sound?
Everybody look – what’s going down?
もう俺たちが止めないといけないと思うんだ
おい、なんだあの音は?
何が起きているのか、皆が覗いている
There’s battle lines being drawn
Nobody’s right if everybody’s wrong
Young people speaking’ their minds
Getting so much resistance from behind
戦線が引かれている
皆が間違っていたら、正解のやつなんていないだろ
若造が思いの丈を話している
後ろからすごい圧力を受けているなかでさ
It’s time we stop
Hey, what’s that sound?
Everybody look – what’s going down?
もう俺たちが止めないといけないと思うんだ
おい、なんだあの音は?
何が起きているのか、皆が覗いている
What a field day for the heat
A thousand people in the street
Singing songs and carrying signs
Mostly saying, “hooray for our side”
こんなに熱いのに野外演習だなんて
通りには千人もの人がいて
歌を歌ってプラカードを持っている
大概の奴は万歳!!って激励しているんだ
It’s time we stop
Hey, what’s that sound?
Everybody look – what’s going down?
もう俺たちが止めないといけないと思うんだ
おい、なんだあの音は?
何が起きているのか、皆が覗いている
Paranoia strikes deep
Into your life it will creep
It starts when you’re always afraid
Step out of line, the men come and take you away
妄想症は根深いところまで広がっている
暮らしの中まで忍び寄ってきている
恐れを感じれば、それは始まるんだ
隊列から外れれば、男に連れていかれてしまう
We better stop
Hey, what’s that sound?
Everybody look – what’s going down?
※repeat4
俺たちが止めた方が良さそうだ
おい、なんだあの音は?
何が起きているのか、皆が覗いている

~First Impression~

やけに「大人」な印象を受けるのは自分だけでしょうか?スティルスの落ち着いた歌い方、男らしい声。反戦歌としてヒットしたわりに、掻き立てるような熱さを感じさせないです。当事者目線よりも離れた目線。もっと言えば、少し上から、大人が子供に語っているような印象を受けます。それでも、嫌味な説教臭さはなく、クールにまとまっています。

~Interpratation~

冒頭の曲紹介で書いた通り、若者が起こした暴動に触発されてスティルスが書いた曲ですが、若者と体制との対立という普遍的なテーマを歌い、反戦歌として歌われる事で完成されたように思います。

◆正体不明の敵

プロテストソングでありがちですが、敵対する相手の描写を最小限が抑えられています。一方、焦ったり恐怖を感じる自分達の事を中心に描写されています。
There’s something happening here
But what it is ain’t exactly clear

Hey, what’s that sound?
Everybody look – what’s going down?

唯一、下記の部分では、敵の事が描かれています。
There’s a man with a gun over there
Telling me I got to beware

「銃口を向けてくる」とか「睨みをきかせて、見張っている」とか、そんな描写は一切入れず、存在だけを描き、動きがない印象です。一方、それを見て恐怖を感じる自分の事を丁寧に描写しています。そうする事で、銃ひとつの存在感が際立ってきます。また、得体の知れないものへの恐怖感。恐怖の普遍化がなされ、反戦歌として出来上がっています。

◆とめるorやめる

下記一文のstopを「とめる」と解釈するか「やめる」と解釈するかで、立ち位置がガラっと変わってきます。

I think it’s time we stop

意味合いとしては、「もう俺たちがとめないといけないと思うんだ」と「そろそろ、やめにしようよ」のイメージです。迷いましたが、前者の解釈としました。色々、訳を見てみましたが、後者の訳が一般的なようです。文法的にそもそも、前者が間違っていたら、申し訳ございません。。。

そう解釈した理由に関しては、自分が感じた妙な「大人っぽさ」からです。当事者が「やめようよ」と提案するよりかは、少し引いて達観しながら「とめねばならぬな」と神様のご意見的な印象を受けたからです。スティルスの神々しい落ち着いた声がそう感じさせます。

◆ロックの流れの観点から

当時の音楽の流れに対する反発と解釈しながら聴くのも面白いです。スティルス自身は恐らく意図していないかと思いますが、オタクとしての願望的な解釈です。For What It’s Worthは1967年の作品です。時代はビートルズ、ローリング・ストーンズ、ザ・フー、キンクスなどのUKバンドがアメリカでも人気を博した時代です。いわゆる、ブリティッシュ・インベージョンです。狭義では、UKバンドが全米チャートを独占した1964年から66年までの間を指しているそうです。個人的な感覚としては、あと5年くらい後まで続くイメージですが。。。

It’s time we stop
Hey, what’s that sound?
Everybody look – what’s going down?

そんな事を意識して上記のサビを読むと、違って読めませんか?“Hey, what’s that sound?”の一言に、自分たちの音楽に対する誇りを感じます。「何だ、あのマッシュルームヘッドは!!男ならウェスタンハットだろうが!!」そんな、アメリカの男の声が聞こえてきそうな気がします。

更に感慨深い点は、バッファロー・スプリングフィールドがイギリスで高い評価を受けている点です。レッド・ツェッペリンのジミー・ペイジは、影響を受けたバンドとしてバッファロー・スプリングフィールドを挙げています。また、セカンドアルバムの『Buffalo Springfield Again』はビートルズの『Sgt Pepper’s Lonely Hearts Club Band』に対するアメリカからの返答と評価されています。

~Unclarified issues~

下記のスタンザは全体的に理解が難しく、自信がないです。。。

Paranoia strikes deep
Into your life it will creep
It starts when you’re always afraid
Step out of line, the men come and take you away
妄想症は根深いところまで広がっている
暮らしの中まで忍び寄ってきている
恐れを感じれば、それは始まるんだ
隊列から外れれば、男に連れていかれてしまう

下記の一文は順番をいじって解釈しました。itは、Paranoiaを指しているかと。自信なし。。。
Into your life it will creep

it will creep into your life

下記の一文はalwaysのニュアンスがいまいちパッとしません。「恐れを感じれば、必ずParanoiaが来るんだ」くらいでしょうか。
It starts when you’re always afraid

下記の一文は訳自体はすんなりですが、繋がりがいまいち理解できませんでした。ハブられるという妄想症のシーンを表現しているのでしょうか?
Step out of line, the men come and take you away

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