~About the Song~

表題曲は、1967年にリリースされたドアーズのセカンド・アルバム『Strange Days』の収録曲です。ドアーズ結成前の1965年、詩作に耽っていたジム・モリソンがベニスビーチで、レイ・マンザレクに出会い、そこで、自作の詩を披露しました。その詩に惚れ込んだレイ・マンザレクは、すぐにジム・モリソンにバンド結成を持ちかけたそうです。その時にジム・モリソンが披露した詩こそ、表題作のMoonlight Driveだったようです。ドアーズ結成のきっかけとなった詩と言えます。

~Translation~

Let’s swim to the moon, uh huh
Let’s climb through the tide
Penetrate the evenin’ that the
City sleeps to hide
Let’s swim out tonight, love
It’s our turn to try
Parked beside the ocean
On our moonlight drive
月まで泳ごうよ。ねぇ
波に逆らってさ
静まり返った暗闇の中を突き進もう
今夜は一緒に泳ごう。いいだろ
一緒に試してみようよ
車は海辺に停めてさ
2人でムーンライトドライブしようよ
Let’s swim to the moon, uh huh
Let’s climb through the tide
Surrender to the waiting worlds
That lap against our side
月まで泳ごうよ。ねぇ
波に逆らってさ
なる様になるからさ
波に身を委ねてごらんよ
Nothin’ left open
And no time to decide
We’ve stepped into a river
On our moonlight drive
他に道はないし
迷っている時間だってないんだよ
僕らはもう足を踏み入れたわけだしさ
2人でムーンライトドライブしようよ
Let’s swim to the moon
Let’s climb through the tide
You reach your hand to hold me
But I can’t be your guide
月まで泳ごうよ。ねぇ
波に逆らってさ
僕にしがみつこうとするけれど
僕は何もしてあげられないんだ
Easy, I love you
As I watch you glide
Falling through wet forests
On our moonlight drive, baby
Moonlight drive
じゃあね。愛してるよ
僕は見てるよ
君が海の森の中に沈んでいくのをさ
これがムーンライトドライブだよ
ムーンライトドライブさ
Come on, baby, gonna take a little ride
Down, down by the ocean side
Gonna get real close
Get real tight
Baby gonna drown tonight
Goin’ down, down, down
おいでよ。全然、大した事じゃないからさ
海の方に降りて来てさ
近くにおいでよ
抱きしめてあげるから
今夜は溺れよう
海の中をずっと、奥深くまで行こうか

~First Impression~

詩としての完成度の高さに驚きます。美しい韻律が刻まれており、音楽としてではなく、詩としての音読を誘ってくるかのような作品に感じます。月光の中をドライブする2人。そんなロマンチックなイメージが根底ある為、内容が狂気的であっても、美しいさが勝っている印象です。ロビー・クリーガーの浮遊感のあるスライドギターは2人を乗せた車が月に向かって空を飛んでいくようなイメージを連想させます。

~Interpratation~

◆2人はどこに向かっているのか?

聴き流せば、ドライブデートの曲ですが、そうでもなさそうです。海面に映った月に向かって身を沈めていく心中の歌と言えそうです。“Baby gonna drown tonight” が決定的な一文になっています。downと濁しても良いところをdrownと決定打を打ってしまう所にジム・モリソンらしさを感じます。“drown in love”というニュアンスも入れたかったのかもしれません。

「死」に向かっているという読み方の他に、「ドラッグ」というテーマも読み解けます。“big drive”で「大量の麻薬投与」といったスラングもあるようです。第4スタンザのguideには旅行ガイドのようなガイドさんの他に「麻薬のからの更生指導員」という意味もあるようです。深い闇の世界への誘惑といったイメージは全体を通してかなり強く感じられ、異世界へ引きずりこむイメージが、畳みかけるように展開されています。

第2スタンザでは、誘惑されており、まだ、距離が開いている事が分かります。
Surrender to the waiting worlds

第3スタンザで、足を踏み入れます
We’ve stepped into a river

第4スタンザでは、破壊され、見捨てられます
You reach your hand to hold me
But I can’t be your guide

第5スタンザでは、抜けられない世界にどっぷり堕ちていきます
As I watch you glide
Falling through wet forests

最終スタンザでは、死が見えます
Baby gonna drown tonight

ジム・モリソン自身、27才の若さでこの世を去りました。死因は明確にはされてないですが、ドラッグの過剰摂取が有力とされています。ドアーズ結成前に書いた詩は、皮肉なことに、自分の末路を描いていた事になるのです。

IYouの距離感について

IYouを「死」や「ドラッグ」、その他の異世界に誘っているわけですが、2人の距離感に注目すると、この曲のダークな世界観が見えてきます。

第3スタンザまではourweが使われており、距離感は近く、寄り添っているイメージです。
It’s our turn to try
That lap against our side
We’ve stepped into a river

第4スタンザ、下記の部分からIYouに分かれていきます。ここの一文が全体の中でも、大きな展開をもたらしています。寄り添っていた2人の関係性が怪しくなり、単なるラブソングではなくなっていきます。
You reach your hand to hold me
But I can’t be your guide

第5スタンザでは、心理的な距離だけでなく、物理的にも2人の距離は離れていきます。
As I watch you glide
Falling through wet forests

そして、最終スタンザ
Come on, baby, gonna take a little ride
Down, down by the ocean side

主語は明記はされていませんが、IYouに語りかけています。2人の距離感・位置関係に関して、引っ掛かりを感じます。奈落の底へと落ちていくYouを見送っていたはずのIが、知らぬ間にYou“Come on, baby”と迎え入れる態勢になっています。現実と幻想、生と死の境界をIが超えた瞬間を表しているように読み解けます。

そして、最後は魅惑と恐怖が入り混じる、ジム・モリソンらしい世界感で包み込みます。恐ろしくも美しく、恐ろしいほどに美しい。そんな詩と言えます。
Gonna get real close
Get real tight
Baby gonna drown tonight
Goin’ down, down, down

~Unclarified issues~

◆なぜriver

第3スタンザで下記の一文が登場します。
We’ve stepped into a river

なぜか急にriveroceanではなかったの?音も合っていないので、韻を踏みにいった弊害でもなさそうです。三途の川(the river Styx)のニュアンスを狙ってなのか?何かイディオムがあるのか?訳に関しては特に当たり障りのないようにしています。。。

easyの解釈について

第5スタンザで下記の一文が登場します。
Easy, I love you as I watch you glide falling through wet forests

細かいところですが、Easyの解釈が難しいです。迷った挙句、「じゃあね」としました。ドアーズの楽曲の対訳本『ドアーズ詩集』では、下記のように訳されていました。

君が滑らかに動いていくのを見ていると、愛していくのはとても簡単だけど、濡れた森の中を落ちていく

単語の解釈というよりも、文法的な解釈が違うようです。省略構文、倒置。そんな所でしょう。他にもネットで調べていくと、「落ち着いて」と訳している方もいるようでした。今回、ここでは、全体の冷酷なイメージと合わせて、「じゃあね」としてみました。解釈間違っている可能性大なので、悪しからず。。。

コメントを残す