~About the Song~

表題曲は、1960年にブルースシンガーのハウリン・ウルフによってリリースされました。作詞・作曲はウィリー・ディクソンによるものです。ウィリー・ディクソンはエレクトリックブルースの基礎を築いた人物の一人で、「Hoochie Coochie Man」「The Red Rooster」「Back Door Man」などの名曲を残しています。

表題曲は多くのブルースの名曲と同様、他のミュージシャンに演奏される事によって、認知されました。1961年のエタ・ジェイムズ版はチャートインを果たし、1966年リリースの『Fresh Cream』に収録されたクリームのカバーによって多くの人の耳に届く事となりました。

~Translation~

It could be a spoonful of coffee
It could be a spoonful a-tea
But one little spoon
Of your precious love
Is good enough for me
一匙のコーヒーにもなれるかもしれない
一匙の紅茶にもなれるかもしれない
でも、君からの尊い愛を小さな一掬いだけで
僕は満たされるんだよ
Men lie about that spoonful
Some cry about that spoonful
Some die about that spoonful
Everybody fight about a spoonful
※1
男はその一匙について嘘をつく
その一匙のせいで泣く奴もいる
その一匙のせいで死ぬ奴もいる
皆その一匙を巡って足掻いている
That spoon, that spoon, that spoonful
※2
一匙、そのスプーン一匙でだよ
It could be a spoonful a-water
To save you from the desert sand
But one spoon of lead
From my forty-five
Will save you from another man
一匙の水になって、砂漠にいる君を
救ってくれるかもしれない
でも、俺の45口径銃から放たれる一匙は
他の男から君を救ってくれるだろう

※1
※2<2times>

It could be a spoonful a-sugar
It could be a spoonful a-tea
But one little spoon
Of your precious love
Is good enough for me-ee
一匙の砂糖にもなれるかもしれない
一匙の紅茶にもなれるかもしれない
でも、君からの尊い愛を小さな一掬いだけで
僕は満たされるんだよ

※1
※2<4times>

~First Impression~

元々、クリームのバージョンしか知らず、「spoonfulって一体どういう意味?」という疑問をぼんやりと抱いていた事から、今回、取り上げて調べてみる事にしました。単語の意味としては、単純にspoonfulの状態という事なんですね。

初めてハウリン・ウルフのオリジナルを聴いて、ボクがすぐにした事は、トム・ウェイツとの掛け合わせ検索でした。酒焼けしたようなダミ声を聴いた瞬間にトム・ウェイツを連想したのは、僕だけではないのではないでしょうか。案の定、トム・ウェイツはハウリン・ウルフの影響を強く受けているようですね。

~Interpratation~

Spoonful Blues

まず、前提として、表題曲には、ベースとなる曲があるようなので、その曲についてご紹介します。それが、1929年発表のチャーリー・パットンのSpoonful Bluesです。チャーリー・パットンとは、1891年生まれ、デルタブルースの創始者と言われている人物です。ロバート・ジョンソンが1991年生まれで、チャーリー・パットンの影響を強く受けていたようです。その話で何となく時代を感じられるかなと思います。

Spoonful Bluesは歌い始めは下記のとおりです。

(spoken: I’m about to go to jail about this spoonful)
In all a spoon’, ‘bout that spoon’
The women goin’ crazy, every day in their life ‘bout a…
It’s all I want, in this creation is a…
(語り:この一匙のせいでムショ行きだ)
全てはスプーンの中にあるんだ。スプーンの為にな
女たちは毎日、夢中なんだよ・・・
俺がこの世で唯一欲しいものは・・・

Spoonful Bluesは、コカインや殺人をテーマに描いたブルースで、繰り返し“‘bout a…”のように、spoonという犯人の名前を伏せて、それに夢中になっている様が描かれています。

ウィリー・ディクソンが、その内容を要約して完成させたのが今回の表題曲、Spoonfulと言えます。SpoonfulSpoonful Blues同様に中毒症状を描いており、ドラッグを連想させる歌として、多くの人に解釈されています。ただ、実際、ウィリー・ディクソンの意図としては、違っているようです。ウィリー・ディクソンの自伝『I Am The Blues』の中で下記のように書かれています。

Willie Dixon was adamant that his song wasn’t about using narcotics. “People who think ‘Spoonful’ was about heroin are mostly people with heroin ideas,”

また、下記のようにも書かれています。ドラッグではなく、セックスを描いているとの事です。
In Dixon’s song, however, ‘Spoonful’ is really a metaphor for sex, and the fact that Howlin’ Wolf purportedly simulated masturbation on stage while performing the song (and rubbed his groin area with a big wooden spoon), would seem to corroborate this.

◆愛とドラッグの対比

ウィリー・ディクソンの意図としてはセックスが題材のようですが、読み手としては、ドラッグや酒など中毒性のあるネガティブなのものとして読解の方が自然だと感じます。その時、注目したいのが、ドラッグと愛を対比させている点です。Spoonful Bluesから要素を削り、簡潔な詩にブラッシュアップしたわけですが、この要素は新たに付与されたポイントになります。

YouからIへの愛>
But one little spoon of your precious love is good enough for me
でも、君からの尊い愛を小さな一掬いだけで僕は満たされるんだよ

IからYouへの愛>
But one spoon of lead from my forty-five will save you from another man
でも、俺の45口径銃から放たれる一匙は他の男から君を救ってくれるだろう

Youをドラッグそのものと捉えれば、対比でも何でもなくなりますが、ここでは、ドラッグの誘惑と戦う自分と、そんな自分を愛してくれている女性がいるという解釈で読みました。どちらも同じspoonを使って描く事によって、ドラッグがまるで愛の誘惑かのような錯覚を演出しているように感じます。

~Unclarified issues~

不可算名詞のはずだが。。。

中学の時、不可算名詞として最初に教わったのが、waterだった気がしますが、こんな使われ方がされています。

It could be a spoonful a-water

音を合わせているのでしょうか、ネイティブは特に違和感なく使う表現なのでしょうか?一杯という意味を強調しているのでしょうか?分かる人が読めば恐らく、一瞬で分かるような低レベルの悩みなのでしょうが、疑問点として挙げます。

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